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月の雫

第23章 いろんな選択


ー月胡ー

討ち入りから幾日か過ぎた。
お連れした刀剣達は元気に過ごしているが、時々同じ刀剣同士で何やら相談している姿を見かける。
気にはなるが…こちらからは聞けない。
いや、聞いたら答えてくれるだろうけど…聞きづらい。

…本丸に居ると、気にしてしまうな。

『少し出てくる。』

三日月「一人でか?」

『あ、敷地内からは出ないよ。
少し…一人になりたい。』

三日月「…わかった。
夕飯までにはもどれよ?」

『はーい。』

さて、何処へ行こうかな…
見晴らしがいい所…滝の上へ行ってみるか。
まだ、行った事がなかったなぁ。
沢の脇道を登って行くと、すぐに着いた。

『おー。』

本丸全体が見渡せる。
道場で鍛錬している声。
畑作業や洗濯を干している姿。
なんでもない日常が、愛おしい。

ごろりと草の上に寝転ぶ。
空が青いなー。
風も気持ちいい。

山姥切「…主?」

『えっ?山姥切?』

誰も来ないと思って、油断していた。

山姥切「…隣、いいか?」

『うん。』

そう言うと山姥切は、私の隣に同じように寝転んだ。

山姥切「気持ちいいな。」

『でしょ?ここへは良く来るの?』

山姥切「あぁ。静かだが、一人じゃないと感じられる。」

『確かに。』

一人になりたいと思っていたけど、結局はみんなの気配が感じられる場所を選んでいたのか。

『ふふっ…。』

山姥切「どうした?」

『んー?自分が馬鹿だなぁと思って。』

山姥切「…何かあったのか?」

「何も…何もないよ。」

そう、何もない。
何も変わらない。

「ホント、馬鹿だなぁ。」

山姥切「…馬鹿でも何でも、俺は主の事が好きだぞ。」

「山姥切…。」

山姥切「一人で溜め込まないでくれ。
俺は三日月や髭切・膝丸のように感知する事が出来ない。
だから、何でも話してくれ。
愚痴でも、楽しかったことでも。」

『…わかった。
今は…もう大丈夫。
山姥切がそう言ってくれたから。』

山姥切「…そうか。
俺は先に戻る。
…冷えてきたから、これで良かったら羽織っていろ。」

と、いつも被っているものをかけてくれた。

『…ありがとう、嬉しいよ。』

山姥切「じゃあな。」

『うん。』

山姥切の羽織で身体をくるむと、彼に守ららているような気持ちになった。



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