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月の雫

第22章 優先


明石…
会話を手抜きするなよ。

『乱さん、まずは傷の手当てをさせてください。
気づかれないよう、傷跡だけ残しておきます。』

[乱]「そんな事…出来るの?」

愛染「この人、いろいろと規格外だから。」

蛍丸「いい意味で、ね。」

…規格外って、いい意味だった?
まぁ、今はおいといて。

『失礼しますね。』

乱さんの手を取り、内側の傷を治す。

『どうですか?』

[乱]「すごい…治ってる。」

『良かった。
…助けて欲しいのですね?』

[乱]「…はい。
短刀ばかりの本丸なのですが…
主さんが…痛みを与えるのが好きな方で…」

『…もう、いいよ。』

思わず、抱き締めてしまった。
震えながら話してくれる乱さんを、少しでも癒やしてあげたくて。

どうして、こんな本丸が存在するんだ?
この子から、時間遡行軍の気配はない。
おそらく、ここの審神者の趣味だろう。
政府のシステムを見直してもらわないと…

『本丸のIDを教えてもらえますか?』

[乱]「はい。」

教えてもらったIDを翡翠に送り、詳細と取締る許可をもらう。

『明日にでも行けますが、どうしますか?』

[乱]「そんな、すぐに?」

『…私は刀剣を不当に扱う審神者が憎くて仕方ないのです。』

明石・愛染・蛍丸「…。」

『なんなら、今すぐに行きましょうか!』

[乱]「うっ…ううっ…。」

…本当に、辛かったんだね。

『…すぐに、行こう。
あなたは、私の本丸に居て?
すぐに、みんなを連れて戻るから。
私達に任せて?』

[乱]「ん…。」

『愛染、先に戻って宗近に話しておいて。』

愛染「わかった。
あと、俺を連れて行ってくれ。」

『わかった。』

蛍丸「ぼくも。」

明石「自分も、行きますわ。」

『ありがとう。あと、大倶利伽羅と髭切・膝丸に声をかけといて。』

愛染「わかった!」

愛染が出たと同時に、翡翠が来た。

『いいよね?』

翡翠「そうだと思ったから、来たんだよ。
討ち入りには政府の役人が付いていかないと、違反行為だからなぁ。」

『悪いね。
乱さん、行きましょう。
あなたには結界を張っておきます。』

[乱]「ありがとう…
よろしく…お願いします。」

『うん。
明石・蛍丸、本丸に戻ったらすぐに支度して。
そろったら出陣するから。』

気づかれる前に、終わらせないと。


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