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月の雫

第21章 絆


和泉守「失礼する。」

『おー、和泉守。おはよー。』

和泉守「あぁ、おはよう。
…これ、報告書。」

『………。』

和泉守「どうかしたか?」

『…和泉守、報告書の書き方知ってたんだ。』

和泉守「なっ!俺を何だと思ってんだ!?」

『…それでいいんだよ。』

和泉守「あ?」

『私相手に、なに気を遣ってんの?』

和泉守「!!」

全く…
似合わないんだよ、そんなの。
いつも通り、軽口叩いてるくらいがちょうどいい。

『…はい、受け取りました。
もう、いいよー。』

和泉守「主っ!」

『なにー?』

和泉守「…行かせてくれて、ありがとな。
心残りが晴れた。
歳さんの誇りを…守る事ができた。」

『うん…そうだね。』

和泉守「それと…
迎えに来てくれて、すげー嬉しかった。
始めは辛くてしたかなかったのに…主の姿を見てからなんか、嬉しくなった。
ちゃんと、見届けられたんだって。
…主には必要とされてるんだって。」

『うん。』

和泉守「すげー、あったかかった。
…ありがとな、主。」

『ふふっ。』

和泉守「どうした?」

和泉守も感じていたなんて、嬉しい。
ちゃんと、繋がってるんだね。

『その温かいのはね、“絆”って言うんだって。』

和泉守「絆…。」

『土方さんとの絆、仲間の絆。
なんだか、強くなれるよね。』

和泉守「一番大事なのを忘れてねーか?」

『ん?』

和泉守「主との…
月胡との、絆。」

『和泉守…。』

私との絆を…
一番大事だと言ってくれるの?
あんなに大切に想っている土方さんじゃなくて…?

『っ……。』

和泉守「Σ月胡っ!?」

『和泉守のくせに、泣かせるなよー。』

和泉守「くせにって、なんだよっ!
っつーか、泣くなって!」

ゴシゴシと、羽織の袖で涙を拭いてくれた。
それがあまりに和泉守らしくて、笑えてきた。

和泉守「泣くか笑うか、どっちかにしろよ。
忙しいなー。」

『和泉守のせいだから。』

和泉守「俺っ!?」

こんなやりとりが、本当に楽しくて。
何気ない日常が続きますように…

そう願わずにはいられなかった。



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