第21章 絆
毛布を持って戻ってきた宗近は、自分で毛布を羽織り、後ろから私を包むように座った。
『迎えに行ってね…
辛く苦しい場面なのに、何故か温かくも感じた。』
三日月「ふむ…。」
『和泉守と堀川の、土方さんへの想い。
それをじっと見守る長曽祢・蜂須賀・加州・大和守の想い。
それが、とても温かかった。
…誰かを大切に想う事は、こんなにも尊い事なんだね。』
三日月「そうだな…。」
和泉守と堀川の涙は、見惚れるほど純粋で美しかった。
それを見守っていたみんなの、相手を想う強さは気高くて。
『それと同時に…
時間遡行軍を許せなくなった。
みんなにこんな想いをさせて…人の歴史を弄んで。
私は…絶対に許さない。』
大切な人達にこんな辛い想いをさせて…
三日月「月胡。」
宗近に呼ばれて、ハッとした。
私の力は強い。
想いを込めすぎると、呪いになりかねない。
三日月「髭切の言葉を借りると、鬼になるぞ?」
『ホントだ。
ありがとう、宗近。
危なかったよ。』
三日月「全く…。
…月胡。
その温かかったものの名を知っているか?」
『何?』
三日月「絆、だ。」
『絆…そうか、絆なんだ。』
主との絆。
仲間との絆。
私が護りたいものは…絆なんだ。
ダメだ、涙が出る。
私にも絆、あったんだ。
そう思ったら、嬉しくて。
三日月「…泣くなら、ここで泣け。」
『…ん。』
宗近の胸に顔を埋める。
私が失くしたと思っていた絆が、ちゃんとここにある。
みんなが温かいのは、これだったのか。
『温かいね…。』
三日月「俺のは愛もあるからな。」
『もう…。』
ちょいちょい、挟んでくるんだから。
分かってるよ。
疑ってもいない。
宗近は、私を愛してくれている。
『ありがとう、宗近。
そろそろ、寝ようか。』
三日月「そうだな。
明日は寝坊してもいいぞ?」
『ん。
おやすみ、宗近。』
三日月「おやすみ、月胡。」
明日はみんな、笑っているといいな…
どんなに辛いことがあっても、ここで休み、癒されて欲しい。
そういう場所でありたい。
少しだけ…
本丸の中に、霊力を放つ。
心の傷も、身体の疲れも全て包み込むように。
おやすみ、みんな。
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