第20章 うんともすんとも
しまった。
つい、声に出していた…
ていうか、そろそろ…
髭切「月胡、大丈夫!?」
膝丸「何かに取り込まれてないか!?」
ほらね。
セ○ム、発動。
宗近だって、感じていたはず。
『ごめん…つい、声が。』
…私に揺さぶりをかけてくるとは、相手も馬鹿だな。
そんなん、とうの昔に受け入れてるから変えたいとも思わない。
今に満足してる。
私は過去に囚われない。
今を否定したくない。
「ったく、舐められたものだ。
私を堕とそうなんて…。」
髭切「…ていうか、好きな人とある意味添い遂げてるって、なに?
どういう事?」
『聞こえちゃった?』
膝丸「はっきりと。」
あー…
誤魔化せないかぁ。
『思念に“好きな人と添い遂げたくないか?”って問われてね。
そう答えたの。
…みんなとこうして共にいる事が、私にとってはそうだから。』
髭切「そう言う事。」
膝丸「そうか。」
三日月「……。」
『まだまだ、冷静でいられないねぇ。
後で座禅してこよう。
さ、仕事に戻るよ。
髭切も手伝ってくれるのかな?』
髭切「お邪魔しました。」
膝丸「あっ、兄者!
月胡、手伝う事があるなら、俺が。」
『あぁ、冗談だよ。
髭切をからかったの。
ありがとう、膝丸。
すぐに来てくれて、嬉しかった。』
膝丸「当たり前だ。
じゃあ、失礼する。」
優秀なガーディアンだねぇ。
…で。
『宗近、言いたい事があるならどうぞ?』
三日月「…添い遂げてる相手が、俺ならいいなと思っていただけだ。」
『…そう。』
いつも真っ直ぐに想いを伝えてくれる宗近。
なかなか答えを出さず、甘えているとは自分でも分かっている。
『宗近…。』
三日月「分かっている。
これは単に、俺のワガママだ。許せよ。」
許すも何も…
三日月「座禅には俺も付き合おうかな。
俺も修行が必要そうだ。」
『じゃ、石切丸呼ぶ?』
三日月「それは、ご勘弁願おう。」
『ふふっ、了解。』
答えを出さなければならない時が…
迫っているのかな。
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