第2章 審神者・始動
『じ・じゃあ、次は膝丸さまを。』
髭切「弟も呼んでくれたんだね。」
三日月「政府からの依頼だ。」
『宗近!』
髭切「そうなのかい?まあ、経緯はどうでもいいよ。
結果として僕は顕現されたんだし。』
良かった、気を悪くしてないようで。
髭切さまはおおらかな方なんだね。
『では、膝丸さまを。』
三日月「うむ。」
宗近から受け取り、髭切さまの時と同じようにすると…
…「源氏の重宝、膝丸だ。試し斬りで罪人を斬ったら、両足を一刀で切った事から名付けられた。……もっとも兄者同様に、他の名で俺を呼びたがる者もいるな。」
『ようこそ、膝丸さま。』
膝丸「俺を呼んだのはあなたか。」
『はい。髭切さまも一緒に。』
膝丸「兄者も!?」
髭切「やあ、…えーっと………。」
なに?
どうしたの?髭切さま。
三日月「此奴は弟の名を忘れるのだ。」
『えー…』
髭切「受け継がれる度に名を変えたからね。
ま、名前はどうでもいいよね。」
膝丸「よくないぞ、兄者っ!」
…うん、良くないよ。
しかも兄弟の名前を忘れるなんて。
『心中、お察しします。』
膝丸「わかってくれるのか?主っ!」
ガバッと両手を握られ、距離が詰まる。
この兄弟、距離感が近いっ!
髭切「うん、手を離そうか。」
いや、貴方が言うか?
膝丸「あっ、あぁ。
すまない、主。
驚かせてしまったな。」
『いえ、大丈夫ですよ。』
良かった、膝丸さまは常識人のようで。
『改めまして、ようこそ当本丸へ。
髭切さま、膝丸さま。』
髭切「呼び捨てでいいよ。
主、君の名前は?」
『月胡と申します。』
髭切「月胡ね。
うん、名前もかわいい。」
だーかーらーっ!
この天然タラシはっ!!
膝丸「兄者がすまない…
こちらこそよろしく頼む、月胡。」
『はい。』
三日月「では、案内する。
月胡は執務室に戻っていいぞ。
後は任せろ。」
『よろしくね、宗近。』
3人を見送り、もう一度職人さんにお礼を言ってから執務室へ戻った。
…なんだか、疲れたよ。
肉体的にではなく、精神的に。
のほほんとした髭切にもだけど、宗近…
少し様子がおかしかった気がする。
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