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月の雫

第2章 審神者・始動


三日月「時間的には太刀が来そうだが。」

『だねぇ。』

正直、複雑だ。
政府にやれと言われて、初めての鍛刀だなんて。

『宗近は戻って。
何かあったら呼ぶから。』

宗近「わかった。」

今の気持ちを宗近に見透かされたくない。
本当は自分の意思で鍛刀したかったよ。
言われてやるなんて、やっつけみたいじゃないか。
あー、面白くない。
審神者だ、主だなんて言われても所詮、政府の言う事を聞かなくてはならない。
でも…

(刀剣に関する事なら、譲らない。)

怒りに任せて仕事を処理していたら、鍛刀が終わる時間になっていた。

『宗近ー、鍛刀部屋に行こう。』

隣の近侍部屋に声をかけて、一緒に鍛刀部屋へと戻る。

職人さんが誇らしげに二振の刀を渡してくれた。

『ありがとうございます、お疲れ様でした。』

と、彼らが好物だと言う菓子を渡した。
職人さんが嬉しそうに笑って受け取ってくれて、ほっこりする。

三日月「どちらからいく?」

似たように見えるけど…

『こちらが髭切…で、こちらが膝丸。」

三日月「わかるのか?」

『うん…感じる。
髭切から、顕現するね。』

膝丸と思われる方を宗近に持っていてもらい、私の手にある刀を額に当てて目を閉じる。

(髭切さま…どうぞ、そのお姿をお示しください)

祈りを込めると、刀剣が光り輝き、桜吹雪が舞う。

…「源氏の重宝、髭切さ。試し斬りで罪人の首を斬ったら、髭までスパッと斬れたからこの名前になったんだ。とは言え、僕にとって名前は割どうでもいいんだよね。」

『ようこそ、髭切さま。』

髭切「やあ、君が主だね。
ありがとう、僕を呼んでくれて。」

と、わたしの手の甲に口っけた。

『Σ!!』

髭切「ふふっ、初心なんだね。かわいい。」

なんなんだ、この天然タラシはっ!
こちとら、免疫ないんだぞ!?

三日月「相変わらずだな、髭切。」

髭切「おや、三日月宗近じゃないか。
君も居たのか。」

三日月「あぁ。」

あれ…?
宗近、機嫌悪い?
普段通りに見えるけど、目が笑ってない。

三日月「そろそろ、その手を離せ。
月胡、次だ。」

『あっ、はい。』

気のせいだったかな。
いつもの宗近に戻ってる。


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