第20章 うんともすんとも
三日月「安心しろ、俺が…
俺たちが護る。何がなんでも、な。」
『無茶はして欲しくない。』
三日月「その言葉、そっくり返そう。」
『あら。』
言うなぁ、宗近。
仕方ない、一番迷惑を被ってるのは彼だもの。
三日月「月胡。」
『なにっ…んんっ…。』
いきなり、宗近に深く口づけられた。
弱いところばかり攻められ、立っていられない…
床に崩れ落ちそうになった所、宗近に抱きとめられた。
三日月「…俺は、忘れぬ。」
『…なにを?』
三日月「月胡が忘れろと言った事を、だ。」
宗近に慰めてもらった事…か。
三日月「小狐丸に口づけられた事もな。
これは、消毒だ。」
『小狐丸、バイ菌扱い…。』
三日月「当然だ。
狐め、調子に乗りおって…。」
怒ってるー。
最近の宗近は、私の事だと余裕が無いな…
『…じゃ、忘れないで。
私が本当に嬉しかった事も。』
三日月「月胡…。」
『さっ!残りの仕事を終わらせて、道場で和泉守を扱くぞー!』
三日月「ほどほどに、な。」
気持ちを切り替えて、執務に励むとしますか!
通常の仕事を終え、道場へ行くと忠光と太鼓鐘が居た。
『手合わせ、お疲れ様ー。』
燭台切「おや、主も鍛錬かい?」
『そう。和泉守に逃げられた…。』
殺気が漏れちゃってたかな?
和泉守は万屋へと出かけてしまっていた。
仕方ないから、自己鍛錬をしに来たと言うわけだ。
太鼓鐘「…俺とする?」
『手合わせを?」
太鼓鐘「そう…その…主が嫌じゃなかったら。」
気を遣ってくれて…
優しい子だな…
この子をあそこまで追い詰めた審神者も時間遡行軍も…
許せない……
太鼓鐘「…やっぱり、嫌か?」
『そんな訳、ないでしょ?
どうやって攻めようか、考えてたの。』
燭台切「気をつけろよ、太鼓鐘。
主は暗殺剣の使い手だからな。」
太鼓鐘「マジで!?俺、早まった?」
『逃がさないよ?』
太鼓鐘「わっ!ちょ、待ってっ!!」
『待たないっ!』
真剣だけど、楽しみながら。
我武者羅にはもう、やってきたからちゃんと動けるように。
相手を見て、分析して。
常に冷静で居られるように。
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