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月の雫

第20章 うんともすんとも


翡翠「まぁ、話と言っても答え合わせだな。
時間遡行軍の戦士は元刀だ。
戦場で散った、無銘や量産されたモノが多い。」

「…中には堕ちた物もあるのでは?』

翡翠「否定できないが、確証もない。」

だよな…
誰もそこまで考えてないし、堕ちる事などそうあってたまるか。

『狙いは私?』

翡翠「それも、さっきと同じ。」

確証はない、か。
だが、そうなんだろうな…

『早期にブラック本丸は粛清する。
罠だろうと、放っておけない。』

翡翠「その罠に自ら飛び込むんだ、力をつけろ。」

『…うん。』

わかってる。
もう、太鼓鐘のような事があってはならない。
私にではなく、刀剣達にダメージが大きい。
何度もやられていたら、ウチの子達が暴れ出しそうだ。

翡翠「…お前、前線に出るなよ?」

『無理な相談。』

翡翠「だよなぁ。
素直に聞くわけないよなぁ。」

『…力をつける。
信じて、任せてくれない?』

翡翠「…強くなったな。」

ウチの刀剣達のおかげだよ。
こんなにも大切に想ってくれているんだ、半端な事をしてられない。
それに…
いつ、彼等に危害が及ぶか…

翡翠「こちらも、全力で協力する。」

『期待してるよ。』

翡翠「してねーだろ、その言い方!」

『…わかっていたのに、隠していただろ。」

翡翠が悪いんじゃない。
彼だって、全力で対処してくれている。
けど、組織の一員だ。
従わなければならない事もある。
…納得がいかなくても、だ。

翡翠「俺もまだまだ、力不足だ。
狸ジジイ共を黙らせるには。」

『妖にでもならないと、勝てないよ。』

妖の方が祓える分、マシかもしれないな。

翡翠「さて、そろそろ帰るわ。
しばらくは、通常業務で頼むわ。」

『わかった。』

玄関まで見送り、執務室に戻る。

三日月「帰ったか。」

『うん。』

三日月「で?」

『…みんなにも説明しておいた方がいいかな。』

三日月「詮索されたくなければ、それが一番だ。」

ターゲットが主かもしれないだなんで、言い辛い。

『なかなかに、波瀾万丈だなぁ。』

三日月「本当に、な。」

鶴丸もびっくりの、驚きに満ち溢れた本丸だわ。



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