第20章 うんともすんとも

んん！？
小狐丸を呼ぶ？

…つまり、小狐丸が慰めてくれるというのか！？

『いやいや！
もう、ご迷惑をかけないようにしますからっ！
そもそも、私が暴れる事態はそうそう起きないからっ！』

もう、言葉がめちゃくちゃ。
恥ずかし過ぎて、動揺しちゃったよ。

小狐丸「…三日月殿だけ、ずるいです。
私もぬしさまに触れたい…。」

すっと、小狐丸の手が私の頬に触れる。
それに…
小狐丸の瞳が熱を帯びている。

小狐丸「ね？」

いけないっ！
目を逸らさないと、狐の術にかかる。

『…小狐丸。』

小狐丸「おや、バレてしまいましたか。
さすが、ぬしさまですね。」

…おいこら。
確信犯か。

『小狐丸。』

小狐丸「ふふ…仕方ありませんね。
これで、我慢します。」

『これ？んんっ！！』

頬に添えていた手が顎に添えられ、小狐丸に口づけられた。
しかも、舌まで絡ませて！！

三日月「こら、狐。
その辺にしておけよ。」

ぐいと腕を引かれ、宗近の背に隠された。

小狐丸「貴方がとやかく言う事ではないでしょう？三日月殿。」

三日月「…。」

『二人とも、そこまで。』

本丸で殺気を出すな。

『今回の事は、私の未熟さが招いた事だ。
小狐丸、宗近には何の責もない。
…どうか、忘れてくれ。』

小狐丸「…はい。」

『宗近も。』

三日月「俺も？」

『そう。…忘れて。』

二人を残して執務室へと戻る。

全く…
こんな事になるとは。

石切丸にでも喝をいれてもらおうかな…
…いや、怖すぎるからナシだ。

女性用のそういうサービスでも検索する？
…今度は翡翠に怒られるか。
なにより、翡翠が立候補してきそう。

「あーっ、もう！！」

滝行しよ、滝行！
頭を冷やして、精神力を鍛えないとっ！！

宗近「月胡？」

小狐丸「ぬしさま？」

『滝に打たれてくるっ！』

宗近・小狐丸「ええっ！？」

縁側にまだいた二人を放置し、滝へ向かうとそのまま飛び込む。

私は何も後悔していない。
宗近が慰めてくれたのも、嬉しかった。
だから、私は忘れない。
大切に胸の奥へとしまっておく。
宗近は忘れても、私の大切な思い出だ。



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