第19章 新たな悩み ※
ー月胡ー
そんなこんなで、湯治休暇はあっという間に終わり。
翌日からいつも通りの日課をこなす。
空いた時間は、霊力のコントロールと剣術の稽古に当てて鍛える事にした。
あの事はまだ、誰にも話していない。
悪戯に怖がらそたくはないから。
太鼓鐘の刀は完全に浄化したから、もう何の心配もいらないが…
話したら太鼓鐘…気にするだろうな。
あのまま鶯丸たちが堕ちてしまっていたら、時間遡行軍へとなってしまったのだろうか。
だとしたら、時間遡行軍の剣士達の元は刀剣男子という事になってしまう。
…なおさら、話せないよ。
三日月「月胡、戻ったぞ。」
『Σおかえりなさいっ!
ごめん、迎えに行かなくて。』
考えていたら、遠征組の迎えを忘れてしまった!
三日月「いや、皆無事だから安心しろ。」
『良かった…。』
検非違使の気配にも十分警戒しているが、一度遭遇しているから油断できない。
三日月「月胡。」
『なに?』
三日月「俺は月胡が話してくれるまで、待つ。
だが、一人で抱え込んで辛そうな顔をしてうるのは見たくないぞ。」
宗近…
そうだよね…
それは、分かっているんだけど…
『どう話したら良いか、まだ分からなくて。
ごめん、もう少し時間を下さい。』
みんなは、私に関わる事だと盲目的になる時がある。
それが、怖いんだ。
だから、ちゃんと確証が持てるまでは話せない。
対策も。
…翡翠に相談する?
アイツはどこまでつかんでいるのだろうか。
情報交換が必要かな。
本丸に呼ぶか。
政府に行くと、近侍を付けなければならないし。
人払いして、話をするか…
端末を開き、翡翠にメールを送る。
三日月「…。」
『宗近?』
三日月「ん?なんだ、月胡。」
あれ…?
違和感を感じたんだけど…誤魔化されたな。
でも、追求はできない。
私も話せない事があるのだから…
あ、翡翠から返信が来た。
明後日の午後に来てくれる。
『宗近、明後日に翡翠が来る。』
三日月「わかった。」
珍しい。
不機嫌を隠しもしない宗近なんて。
…いや、隠さないでくれて嬉しいよ。
宗近は自然に自分を出さないから、私の前では出して欲しい。
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