第18章 現実逃避
翌日からもご飯の時間だけは守り、好きなように過ごした。
完全に外と遮断されているここは、余計な音がなくていい。
みんなが来る前に泳ごうと、早くプールへ来た。
泳ぐのは、好き。
身体が軽く感じるし、この浮遊感がいい。
太鼓鐘「あれ?主。」
『おはよう、太鼓鐘。
早いのね。』
太鼓鐘「騒がしくなる前に泳ごうと思って。主は?」
『同じ。』
太鼓鐘「じゃ、一緒してもいいか?」
『どうぞー。』
特に話もしないで、各々泳ぐ。
気を遣わない関係って、いいな。
先に上がって身体を休めていると、太鼓鐘も上がって来た。
太鼓鐘「…跡、残ったな。」
水着のない場所にある今回の傷跡に気づいた太鼓鐘が、気まずそうに言った。
『…跡じゃないよ。
これは、証。』
太鼓鐘「証?」
『そう。
太鼓鐘や鶯丸・村正・亀甲・物吉を護れた。
そして…その前に折られてしまった刀剣への懺悔。』
太鼓鐘「それは、主のせいじゃ…。」
『でも、“人”がした事だ。
何の非もない貴方たちに。
私は刀剣を護る為、審神者になったの。
それが出来たのと、出来なかったの。
忘れない為の証だよ。
そして、勲章でもある。
護れた事は誇りだからね。』
そう言いながら、太鼓鐘の頭を撫でる。
『貴方に会えて、こうして一緒にいられる事が嬉しい。』
太鼓鐘「…うん、俺も主に会えて嬉しい。」
燭台切「…なんだか、妬けてしまうね。」
鶴丸「だな。」
伽羅「部屋にいないと思ったら。」
太鼓鐘「Σみんなっ!こっ、これはっ!!」
『なにー?
みんなも撫でて欲しいの?』
ふざけて三人の頭を撫でたら、意外。
避ける事なく、撫でさせてくれた。
…伽羅も。
『伽羅の龍、ちゃんと見たの初めて。』
伽羅「だろうな。」
『綺麗ね。
伽羅を護るように見える。』
伽羅「…倶利伽羅龍が護る腕で、主を護る。」
だーかーら!
きゅん死にするって…
和泉守「あれ?主に伊達組。来てたのか。
っていうか、主は泳げるのか?」
次にやって来た新選組チームの先頭にいた和泉守が、きゅんを台無しにしてくれた。
『加州、大和守…。』
加・大「「了解っ!!」」
和泉守「あ?うわっ!なんだよっ!!」
私の意図を理解した二人が、和泉守をプールに投げ捨てた。
『みんな、沈めてしまえっ!!』
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