第18章 現実逃避
ゆっくりと身体を温めてお風呂から上がり、休憩室の縁側でサービスのアイスにかぶりつく。
燭台切「主、髪をちゃんと乾かさないと。」
忠光母さんが来た。
『ここにいれば、乾くよ。
暖かいし、気持ちいい。』
歌仙「まあ、風邪をひく気候ではないから大丈夫だろう。」
歌仙姉さんも。
伽羅「茶をもらって来た。」
『ありがとう。』
伽羅兄さん、だな。
この三人は本当に甲斐甲斐しく世話をしてくれる。
『三人とも、大丈夫だよ?
何もしないから、放っておいても。』
燭台切「身体が勝手に動いてるんだよ。
主の側に居たくてね。」
歌仙「意識してないから、疲れもしない。」
伽羅「…見える所にいた方が、気が楽だ。」
…もう、惚れちゃうぞ。
私が言うのもなんだけど、過保護だなぁ。
優しくて、かっこよくて、出来る男達。
『落ち着くね…。』
伽羅「本丸には及ばない。」
歌仙「そうだね、本丸が一番いい。」
燭台切「あそこには主の気で満ちているからね。」
『…みんなで作ったんでしょ?
私の力だけじゃない、みんなの想いがそうしてるんだよ。』
一緒に幸せになろうと言ってくれて日から、空気がガラリと変わった。
独りよがりじゃなく、本当にみんなで作り上げている。
新しいメンバーも居心地良いように、大切にしてくれた。
『翁が今の本丸を見たら、なんて言うかな。』
長谷部「間違いなく、褒めて下さいますよ。」
『長谷部…。』
青江「主に審神者を任せて、俺達と好きな事をして居座っていそうだねぇ。」
『たしかに。』
そんな気がする。
翁…
立派に育ってますよ。
薬研「大将、そろそろ部屋で少し休め。」
『そうだね。
ありがとう、薬研。』
この湯治で身体を完全に戻さなくては。
戻ったら、しなきゃいけない事が見えて来た。
痛い目にあったけど、色々と見つめ直す機会になったし。
…弄ばれるのは、腹が立つ。
借りはきっちり返すよ、利子つけてね。
鶯丸「主。」
『どうしたの?鶯丸。』
鶯丸「茶を立てた。飲んでくれないか?」
『いただきます。』
鶯丸「それと…。」
『…気付いていたの?』
鶯丸「あぁ。」
そうか、鶯丸は分かっているのか。
鶯丸「…今はよそう。
さ、和菓子もあるから。」
『ちょうだいします。』
鍛えよう。
心も、身体も。
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