第18章 現実逃避
ー月胡ー
膝丸「月胡。
そろそろ上がろう。
いくら温水プールとはいえ、そろそろ身体が冷える。」
遊びに夢中になっていたら、膝丸がタオルを持って迎えに来てくれた。
『そうだね。
言われてみれば、少し冷えたかも。』
髭切「じゃ、今度は温泉に入ったらいいよ。」
『うん。
じゃ、露天に入ろうかな。』
髭切「一緒に」
『却下。
覗いたら、吊るすからねー鶴丸。』
鶴丸「だから、なんで俺指定なんだよ!」
普段の行いでしょ。
まぁ、今の水着がほぼ…ねぇ?
だいたい、ウチの子はそんな事しない。
…するならとっくに、ヤられてる。
部屋に戻って着替えを持ち、大浴場へと向かう。
わぁ…広くて綺麗。
身体を洗って、まず内湯で温まる。
んー
気持ちいい…
実は今回…
危なかったんだよなぁ。
あの本丸…
明らかに私狙いの呪があった。
太鼓鐘の刀に、だ。
だから、回復に予想以上の時間がかかってしまった。
前のように翡翠が仕掛けたものではない。
…おそらくは、時間遡行軍のトップ。
もしかしたら、ブラック本丸は私を釣る罠なのかもしれない。
だとしたら。
ブラック本丸も、アイツらが人間の本質に働きかけて作為的にやっているのだとしたら…
…許せないな。
力を…
もっと、力をつけないと。
私の刀剣達を護らなくちゃ。
髭切「月胡ー。
気が尖ってる。
鬼になっちゃうよー。」
膝丸「休息しに来たんだろ?
今は、考え事はやめておけ。」
壁の上が空いていて、男湯の声が聞こえる。
髭切と膝丸に気づかれてしまったな。
…本丸に帰ったら、尋問されそう。
宗近も気づいてるんでしょ?
帰ったら、話すからね。
二人の言う通り、今はやめよう。
『今から露天行くねー。』
髭切「僕達も行こうか。」
膝丸「そうだな、兄者。」
仲良し兄弟め。
髭切の物忘れを除けば、本当に素敵な兄弟だ。
千子「物吉くん、お待ちなさいっ!」
物吉「嫌ですっ!
タオルは取りませんよっ!!」
…だから、村正よ。
本丸の風紀を乱すな。
『物吉ー、湯船に浸かる時は外すんだよー。』
物吉「Σ主さまっ!?」
『蜻蛉切ー、村正をどっかに繋いどいてー。』
亀甲「いやっ、縛るならぼくをっ!!」
蜻蛉切「縛るのではなく、繋げと仰せなのだよ。」
…本丸の未来が心配。
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