第17章 証
膝丸の突然の(髭切みたいな)行動に、内心バクバクだったけどなんとか落ち着いて支度をする。
膝丸の唇が触れた傷跡が、熱い。
それだけ、心配をさせてしまったという事だな。
うん、そう思う事にする。
『膝丸、お待たせー。』
膝丸「では、行こうか。」
膝丸もいつも通りだ。
ならば、私も変わらなく行こう。
並んで庭を歩く。
今日は少し、奥の方まで行ってみようかな。
膝丸「俺は…。」
『ん?』
膝丸「俺は今まで…
運命のまま、様々な主に仕えてきた。」
『うん…。』
膝丸「求められるまま、何も考えずに使われてきたが…
月胡に顕現された時初めて、自らの意思で仕えたいと思った。
俺にも選ぶ事が出来て、望むように動けると。」
『そうだよ。』
膝丸「俺は月胡が好きだ。」
ー!!!
膝丸の真っ直ぐな瞳が、真っ直ぐな想いを伝えている。
熱く…嘘偽りのない想いを。
膝丸「今回の事でな、気持ちは伝えておかなければと思った。
後悔のないよう、生きていたい。
月胡も、そのように生きているだろ?
その姿に、恥ずかしくない俺でありたいんだ。」
『膝丸…。』
膝丸「これは、誓いだ。
俺は月胡以外には仕えない。
月胡と共にある事を望む。
…必ず、護るからな。」
『ありがとう、膝丸。』
ちゃんと、受け取ったよ。
膝丸の想い。
膝丸「…手を…繋いでもいいか?」
『もちろん。』
差し出された膝丸の手が白くなってる。
…緊張して、強く握り締めていたんだね。
その手を包み込み、優しく握る。
膝丸「…離したくないな。」
『例え手は離れても、ちゃんと繋がっているよ。』
膝丸「…そうだったな。」
忘れないよ、膝丸の想い。
ちゃんと、貰ったから。
その時まで、大切にしまっておくよ。
膝丸「だいぶ良さそうだな。」
『うん。
そうだ!
明後日から温泉リゾートに行くよ。
本丸のみんなで。』
膝丸「それは楽しみだな。」
『ねー。
一緒に泳ごうね!』
膝丸「あぁ、もちろんだ。」
戻ったら広間にみんなを集めて、発表しよう。
ドタバタの旅行になるだろうなぁ。
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