第17章 証
それから、医師の診察を受けたり、リハビリをしているうちに歩く許可が出た。
石切丸「さっ、主。
今日は私と散歩だよ。」
『はーい。』
毎日、午前と午後に一回ずつ。
誰かに付き添ってもらって散歩している。
食事も通常に戻り、楽しみが増えた。
石切丸「少し気温が下がってきたね。」
『もう少しで紅葉が始まるかな。』
石切丸「その頃には、紅葉狩りに行けるかな?」
『行けるよう、がんばります。』
石切丸「無理はしないように。」
…大丈夫、石切丸が怒ると怖いから。
太鼓鐘「あっ、主!」
『おー。
光忠と畑仕事?』
太鼓鐘「そう!
今日の夕飯に使う野菜の収穫。
主、どれが食べたい?」
『…ブロッコリー、美味しそうだね。』
太鼓鐘「わかった!
…傷の痛みはとれたか?」
『うん、もう完全に塞がった。
痛み止めも飲まなくなったし、先生のお墨付きもいただきました。』
太鼓鐘「良かった!
明日は俺と散歩しよーな!!」
『うん。』
すっかり、元気になったね。
積極的に手伝ってるみたいだし、これが本当の太鼓鐘なんだ。
石切丸「昨日は大倶利伽羅さんと手合わせしていたよ。」
『…良かった。』
伊達組に任せておけば大丈夫だと思ってた。
ちゃんと、フォローしてくれてる。
村正「物吉くんっ!
お待ちなさいっ!!」
物吉「嫌ですよっ!絶対、脱ぎませんからっ!!」
亀甲「じゃ、縛ってくれるかいっ!?」
物吉「それもお断りしますっ!!」
…あれ。
大丈夫かな?
この本丸、おかしな方へ進んでない?
『あっ。』
いかがわしいのに気を取られていたら、足を取られた。
石切丸「おっと。」
すぐに石切丸が回り込み、抱き止めてくれた。
石切丸「今日の散歩はこれくらいにしておこうか。』
『そうだね、ありがとう。』
石切丸「よっと。」
『Σ石切丸!?』
ふわっと身体が浮いた。
石切丸に抱き上げられる。
石切丸「…少し、こうしていていいかな?」
いつもより、ほんの少し低い声に胸が高鳴る。
『うん…重くないなら。』
石切丸「全然。
前より軽くなってるね。
もっと沢山、食べないと。」
『努力します。』
そのまま縁側に連れて行ってもらい、日が暮れるまで石切丸と過ごした。
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