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月の雫

第17章 証


三日月「呼んできたぞ。」

『ありがとう。
…寝巻きのまま、失礼します。
どうぞ、こちらへ。』

硬い表情で、鶯丸を先頭に彼らがベッドを囲むように立った。

『体調はいかがですか?』

鶯丸「問題ない。
…俺たちよりも、貴女の方だろう。」

『ご覧の通りです。
傷は塞がり、霊力も八割は回復しています。
あとは、身体を動くように訓練するだけです。』

大丈夫だとは、言わない。
彼らはそんな言葉は、望んでないから。

『早速ですが、身の振り方を教えていただきたい。
この状況は、貴方たちにとって良くないのです。
早く安定しなくては、本当の回復にはなりません。』

鶯丸「我々は…
出来る事なら、この本丸で…
貴女の刀剣として在りたい。」

『わかりました。
では、契約しましょう。』

鶯丸「だが、貴女はっ!!」

『私は、貴方たちと契約したいです。
私と家族になってくれませんか?』

太鼓鐘「…恨んでないの?
俺…貴女を……。」

『本当に、“私”だと分かっていても刺したのですか?』

太鼓鐘「えっ…?」

『“人“だから、刺したのでは?
“月胡“が憎くて刺したのですか?』

太鼓鐘「貴女になんの恨みもないっ!!』

『なら、よかった。
私も、貴方を少しも恨んでません。
…貴方達をこんなにした審神者を恨んでは居ますが。』

ホント、私が会っていたら徹底的にヤッてやるのに。

鶯丸「…貴女は良くても、刀剣達は?
俺達を受け入れられるのか?」

『おかしいですね。
宗近の報告では、仲良くやってると上がっているのですが。』

宗近「俺は嘘を言わぬぞ。」

『ですって。
ウチの子達も、憎む先を間違えません。
もういいですか?
契約して、休みましょう。』

正直、ちょっとしんどくなってきた。

物吉「大丈夫なんですか?
今、霊力を使ったらお身体が…。」

『なら、契約を済ませたら皆さんの霊力を私に分けてもらえますか?
まだ、皆さんから頂いてないので。』

鶯丸「…もちろんだ。」

『良かった。
では、よろしくお願いします。』

不安が消えていく。
あんな目にあってもまだ、私と契約してくれる。
私を信じてくれたんだね。

『あ、太鼓鐘さま。』

太鼓鐘「呼び捨てでいいよ。」

『じゃ、太鼓鐘。
これをお戻しします。』

ベッドサイドに置いていた刀を、太鼓鐘に返す。


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