第17章 証
三日月「月胡が良いようにしよう。
湯と手ぬぐいを用意するから、顔と身体を拭くといい。
緑を呼ぶか?」
『お願い。』
勝手に動いて、怪我しちゃいけない。
…て言うか、まだ動けないし。
相当、鈍ってる。
こんな事も出来なくなってるとは。
『情けない。』
緑「そんな事、ないです。
貴女は“人”なんですよ。
手入れでほいっと治りません。
頼ればいいんです、彼らを。
喜びますから。」
…確かに、喜んでくれる。
緑「普段できなかった事や、考える時間がなかった事が出来る機会です。
今まで走り続けてきたんですから。」
そうか…
少し止まって、これからの事や今までの事を考えるのには良いか。
長谷部「主。
これから足を動かしますね。
…触れても良いですか?」
『もちろん。
よろしくお願いします。』
長谷部「では、失礼して。」
長谷部がゆっくりと関節を回して、ほぐしてくれる。
少し痛いけど、身体の血が巡る感覚が心地いい。
リハビリ(と言うより、まだマッサージ)が終わると、忠光の食事…なんだけど。
燭台切「まだ、固形は食べられないよね。
まずは、重湯に近いお粥から始まるよ。」
『はい。』
みんなに頼って、任せちゃう。
食事が終わって、ベッドに座る。
少しでも身体を起こしておかないと、回復が遅れてしまう。
『宗近、少しだけ書類を見てもいい?』
三日月「いいぞ。
どの辺りのを持ってくればいい?」
『えっとね…』
だうやら、無理はしないと信じてもらえたようだ。
止められる事なく、書類を持ってきてくれた。
緑に言われた通り、色々と見つめ直したい。
…あ、その前に。
大切な事を忘れていた。
『宗近。
保護した彼らは落ち着いたんだね。』
三日月「あぁ。
内番を手伝ってくれている。」
『…呼んできてくれる?』
三日月「…大丈夫なんだな?」
『うん。』
この中途半端な状況は、良くない。
彼らも気になっているだろうし、行くにせよ・残るにせよ。
早く決めないと。
さてさて、どうなるかなぁ。
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