第17章 証
ベッドを起こし、山姥切に支えてもらって水を飲んだ。
うわっ…沁み渡る。
『美味しい…。』
翡翠「だろうね。
食べ物は診察が終わってからだよ。
いきなりは無理だろうから。
大人しくしてろよ。
山姥切、しっかり見張っててくれ。」
山姥切「わかった。」
信用ないなぁ。
動きたくても、動けない。
こりゃ、リハビリが大変そうだ。
山姥切「ベッド、戻すか?」
『このままがいい。』
目を閉じて、自分の身体と向き合う。
ごめんね、無理させて。
でも、大丈夫そうだね。
医師の診断も問題なく、本丸へ戻れる事になった。
翡翠「三日月宗近に全て報告してあるから、誤魔化したり無理は出来ないからな。
薬やリハビリ、サボるなよ。」
『わかってる。
これだけ心配させたんだから、しばらくは大人しくしてる。』
山姥切「いや、ずっと大人しくしていてくれ。」
翡翠「本当だよ。」
えー。
そこは気が合うのね…
翡翠「車椅子を用意するから。」
山姥切「必要ない。」
『えっ?わあっ!!』
山姥切に横抱きされた。
翡翠「あーもー、ここの刀剣は本当に…
荷物とか必要な物は俺が運ぶよ。」
『待って。
…太鼓鐘貞宗は、私に持たせて。』
翡翠「…お前を刺した刀だそ?」
『油断した私が悪い。
大切な刀剣だから、私が。』
諦めたのか、さらしで巻かれた刀を私の上に乗せた。
まだ怖がっているのが、刀から伝わる。
(大丈夫ですよ。回復しましたので、本丸に戻ります。気が向いたら、刀を受け取りにいらしてください。)
もう、忠光達に会ったのかな?
身体は回復したのかなぁ。
心は…簡単にはいかないよね。
山姥切「どうした?痛むのか?」
『違う違う。
山姥切が優しく運んでくれてるから、なんともないよ。』
山姥切「…それなら、いい。」
『それより、重くない?』
山姥切「重い。」
『Σごっ、ごめんっ!
翡翠、車椅子をお願いっ!!』
山姥切「体の重さじゃない。
大切な主を抱えているんだ、重いに決まってるだろ。」
あー。
キュン、いただきましたー。
なんだって、ウチの子達はこんなに男前なんだよー。
本当に、キュン死にしちゃうだろーが。
山姥切「着いたぞ。」
おー、安心する空気だ。
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