第17章 証
『あんたらは…
それが、主に対する態度!?」
山姥切「…起きたのか?」
『うん。
みんなの声はずっと、聞こえてたよ。
…って、山姥切?』
…泣いてる。
パッと羽織で顔を隠し、背を向けられた。
山姥切「…やっと、起きたか。
待ちくたびれたぞ。」
…ちゃんと、わかってた。
みんながとても心配してくれていた事。
私が気に病まないよう、軽口を叩いていた事も。
みんなの霊力が
“がんばれ”
“早く楽になれ”
“大好き”
そう、伝えてくれた。
『山姥切、こっちに来て。
私、まだ起きれないから。』
山姥切「…わかった。」
顔を拭い、こちらへ来てくれた山姥切の頬に手を伸ばして触れる。
『…待っていてくれて、ありがとう。
力を分けてくれて、ありがとう。』
山姥切「…俺だけじゃない。」
『うん。
でも、今ここにいるのは山姥切だから。』
私の手を山姥切が握る。
山姥切「…お帰り、主。」
『ただいま。』
山姥切「翡翠殿を呼ぶ。」
『そうだね、お願い。』
山姥切が翡翠の置いていった式神を飛ばすと、すぐに来た。
翡翠「おはよう、月胡。」
うわっ。
めっちゃ、にこにこしてる。
こういう時って、ものすごーく怒ってるんだよな…
『おはよう…ございます。』
翡翠「油断すんなって、あれ程言ったじゃねーか!」
『Σ痛い、痛い!
今、起きた所なんだけどっ!!』
拳で頭をグリグリされた。
ホント、怪我人をもう少し思いやれっ!!
翡翠「…本当に、こんな事は2度としないでくれ。」
急に真顔で、トーンを落とした声で言われた。
翡翠「ま、予想よりは早く目覚めたけどね。
全員の霊力が入ってからだと思ってた。」
『…みんなの祈りが届いてたから。』
そう。
私の贈った御守りから、祈りが届けられていた。
一日も、誰一人欠かす事なく。
『私…愛されてる。』
翡翠「そーだな。
…医師の診察を受けて問題なかったら、愛しの本丸に帰れるから。」
『ホントっ!?……いてて。』
山姥切「主っ!!」
翡翠「興奮しすぎ。
動いてなかったんだから、身体が固まってるんだぞ。
それに、傷が開いたら帰れなくなる。」
『それは、嫌。
大人しくしてる。』
山姥切「水、飲むか?」
『ありがとう。』
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