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月の雫

第16章 新たな傷


本丸に戻ったら、三日月宗近と執務室で話をする事になった。

三日月「…本当の所、月胡はどうなんだ?」

「力を解放したから、簡単に意識は戻らない。
怪我をして、制御が効かない状態で、刀剣の手入れ・折られた刀剣の供養・自分のケアとやってのけたからね。」

無尽蔵な霊力とはいえ、さすがにやり過ぎだ。

三日月「俺達の力を分けても?」

「だから、一人ずつ付き添わせるんだよ。
あくまで、霊力だからね。
神力は、駄目だ。
今の状態で注げば、簡単に人ではなくなってしまう。」

空っぽのコップに注ぐようなものだ、簡単に満たすことができる。
だが、そこに月胡の意思はない。
…これ以上、月胡の望まぬ事はしたくない。
それは、ここの刀剣達とて同じはず。

「分ける量も、均等にしろよ。
お前達がバテても駄目だし、月胡が怒る。」

三日月「そうだな。」

話のわかる相手で良かった。
三日月宗近に任せておけば、大丈夫だ。

「じゃ、俺は月胡の所に戻る。
明日、本丸が整ったらこんのすけを呼びな。
月胡の所に案内するから。」

三日月「わかった。
…月胡の事、くれぐれも頼む。」

「わかってる。」

…言われなくとも、そうする。

本丸を出て、月胡の元へ戻る。

青白い顔して、眠ってる。

始めはただの、月胡の担当者だった。
月胡を監視して、教育プログラム通りに育てるだけの。
だけど、共に過ごしているうちに…
他のヤツには任せたくないと思うようになっていた。
こんな残酷な状況下でも、腐る事なく前を向いて喰らい付いてくる月胡が可愛くて。
いじらしくて、愛しくて。
プログラムの中に、性的な関わりを見つけた時…
力と立場がないとその任にはつけないと知り、必死で身につけた。
俺以外が触れるなんて、耐えられない。
自分に力をつけ、月胡にも様々な知識を与え。
誰にも手出し出来ないようにしてきたんだ。

月胡は強かに・しなやかに成長し、俺も立場だけの上役を黙らせられる力を手に入れた。

これで、月胡を護れる。


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