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0と1への還元

第2章 一時帰還と美化された記憶


 産まれた世界に別れを告げてツイステッドワンダーランドに戻ってくると、イデア先輩とオルト君が二人揃ってよく似た顔を驚愕の色に染めた。
「ただいま戻りました」
「早いね!?」
私は口角が上がるのを止められない。
「ええ、全てを思い出してしまいましたから」
そう、全てを。まだ未成年で体つきもとんでもなく貧相であったが故に本番まではいかなかったが身売りの真似事をさせられたり、寒い屋外に放り出されたりしたことを。寒くて怖くて寂しくて痛くて。呪いのように刻まれた風化しない感情を。全てを。
「彼方と私のいる場所を繋ぐかずら橋は切り落として燃しました。これで私はずっとこっちに居られる。」
イデア先輩が両手を広げ、その長い腕で私を閉じ込める。後ろからはオルト君も抱きついてきた。
「「お誕生日おめでとう」」
こちらの世界での誕生日は今日だ。絡繰仕掛けの体で二人を抱き締め返した。
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