第2章 夢の中の君
『じゃあ、みんな行ってきます!!』
駅まで見送りに来た東方司令部のメンバーに手をふり、エルリック姉弟は列車に乗り込んだ。
『わーすごーい!!久しぶりに帰るな~。ばっちゃんたち元気かな~。』
「あー、姉さん!窓から頭出したら危ないよ。」
列車の窓をあけ、はしゃぐとそれを呆れたように見るエドワードとアルフォンスであった。
しばらくはしゃいで、睡魔が襲い、3人は寝入ってしまった。
数時間眠り、は異様な気配を感じ起きる。
『エド。アル。』
と2人に声をかける、
「ああ。わかってる。なんかいるな。」
「そうだね。前の車両かな。」
3人は席を立ち、慎重に気配の位置を探った。
『そうね。乗客の安全も確認しながら行くわよ!!』
「おう!!」「うん!!」
3人は前方車両を目指し駆け出した。
「きゃー!!!」
先頭車両に入る前に、女性の叫び声が聞こえた。
勢いよく扉を開くと中は、血だらけで人々の死体が転がっていた。
『な…に…。これ…。あれは…なに…。』
あまりの無惨な光景に3人は息をのむ。
視線の先には角の生えた化け物が腰が抜け床に座り込んでいる少女の前に立ちふさがっていた。
「いや…。たす…けて。」
少女は恐怖のあまり全身を震わせ、涙をながしている。
「うがぁー!!」
化け物は少女に襲いかかろうと、手を伸ばす。
『くっ!』
シュッ!!ザシュッ!!
一瞬のできごとであった。化け物の手は少女を襲うことなく、切り落とされたのであった。そして、が化け物から少女を庇うように立ちはだかる。
隙をみて、少女を抱え、エドワードとアルフォンスのいる方へまた一瞬で戻ってみせた。
『この子の保護をお願い!アル!後ろの車両へ!!』
「うん!わかった!」
アルフォンスは少女を抱え、後ろの車両へ連れていった。
『もう生存者はいないみたいね。…なっ!!』
とエドワードは信じられないものを見た。切り落とした手が再生したのである。
「なっ!手が…生えただと!」
『本当になんなの。こいつ。キメラではなさそうだけど…。ホムンクルス?その割には不細工ね。』
2人は臨戦態勢に入る。そして、少女を避難させたアルフォンスも加わった。