第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
「朔。王宮でお前の所有権を譲渡するとなったらお前はどうする?」
「義勇様。一度同契したら破棄はできませんよ?」
「何?」
「王宮に貴方が戻り、私も伴っていたとして、私の所有権は貴方のままですし。他の聖剣も王宮が保管していたら五本目が……」
「義勇様?」
「五本目?」
「この国に伝わる聖剣伝説は五本。私たちエディルレイドの聖剣は13人居て所在を明らかにしているのはフラムの王宮で代々受け継がれている炎の聖剣のみ。他は私のように封印されていたり、所有を隠したり、表だって出ることはありません」
「…………」
「義勇様!」
「何だ?」
「もう、私のお相手はしてくれないのですか?」
「………昨日ので懲りたんじゃないのか?俺には妻が……」
「分かってますよ、私の我が儘です。でも、きっと王宮に戻ったら、私のところには来てくれませんよね?」
「…………」