第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
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とりあえず、夜明けに出発と決めて、鱗滝から部屋を借り、早々に休むことに。
擬煌珠こと鶫が鱗滝にべったりなので、必然的に来客部屋を朔と二人で使うことになったのだが……
昨夜のこともあって二人揃って無言。
「えっと……」
最初に根負けしたのは朔だった。
「義勇様、もう少し近づいても良いですか?」
「何だ?」
少し大きめの寝台とはいえ、一人用のそれに二人で寝るのはなかなかに窮屈なんだが。
朔が冨岡の体に腕を伸ばしてくる。
密着した冨岡の背中に朔の胸が当たる。
これは誘われているのか?
「昨日あれだけして頂いたのに、私…義勇様が……///」
「…………朔」
「……はい」
「俺は情けない男だ。どっち付かずのくせになし崩しに昨日お前を抱いてしまった」
「そんなことありません。私がせがんだから……だから義勇様は……」