第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
「とまぁ、雑談はこれくらいとして、義勇。どうするつもりだ?」
「とりあえず、伝承のエディルレイド。水の神子を献上するという建前で王宮に、と思っておりましたが、その際に叔父上の書状を書いて頂きたく……」
「王はなかなかに頑なだからな。だが、儂だけの書状では納得せんかもしれん……」
「そうですか……」
「義勇、可能ならば産屋敷様の元へ行くがいい。あの方ならば、あるいは」
「産屋敷様ですか?」
「あぁ、御当主の産屋敷耀哉様の書状であれば王も受け入れて下さるやもしれん。儂から伝令の鷹を飛ばしておこう」
「ありがとうございます」
「ところでだ。朔殿が水の神子という話だったな?」
「はい。先々代の王、煉獄勘十郎様に仕えておりました」