第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
ギュッ。
朔が擬煌珠を抱き締める。
「ごめんなさい」
ただでさえ数の少ないエディルレイド。
赤ん坊のうちは母胎となったエディルレイドが育て、幼少期に武器としての技と謌を学び、人間で言う思春期の頃合いに使い手を探す旅に出るのが通例だ。
「お前が謝ることはないだろ。朔」
冨岡に頭を撫でられ、涙が溢れそうになった。
「元はと言えば、王宮が聖剣を独占していたからだろう」
ノアズアークももしかしたら、飢えと渇きに苦しむ民衆達が立ち上げたものかもしれない。
「お前たちのことは俺が必ず王宮まで連れていく」
「グルル……」
カンバダが喉を鳴らす。