第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
$$$
商業テントの外で夜風に当たっていると……
「義勇様」
善逸と擬煌珠をテントに残して、朔が出てきた。
「朔、どうした?擬煌珠は……」
「もう、擬煌珠さんや百合さんばっかり気にかけて…」
「は?」
「義勇様は私のご主人様です!」
「…………朔?」
「義勇様、私……私は……私は貴方を愛しています」
「…………」
朔が俺を……?
チュ。
「同契したエディルレイドはご主人様から生気を頂いて身体能力を向上させます。義勇様、私の番(つがい)になっていただけませんか?」
「番?」
「擬煌珠は半分、人ですから番は要りませんが、私は」
「ちょっと待て。俺は……」
「貴方も……王のように、搾取するだけなのですか?」
「王?」
確か、朔は先々代の……
「貴方も私の水の能力だけしか……」
渇く……