第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
「アンタ……何で……」
自分の腕の傷口に薬を塗っている冨岡に戸惑いを隠せないでいると……
「気がつきましたか?」
「アンタ…さっきの聖剣…」
「あ、動いちゃダメだよ?」
善逸が商業テントを建て直しながら、擬煌珠に声をかける。
「善逸さん、こっちはできました」
テントに使用している修繕した布地を善逸に手渡す。
「ありがとう、朔お姉さん♪」
「擬煌珠。不恰好で悪いが、一応手当てはした」
「何で…手当てなんか……」
敵だった私を助けても、何の得も無いのに……
「国民を無下にはできないからな」
一応俺も王族なのだから。