第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
パリン!
「何っ!?擬煌珠!!チッ、紛い物めが!」
パキィン!
擬煌珠の核石に亀裂が入る。
パシンっ!
弾みで同契が解除されると、ノアズアークの隊長が人形に戻った擬煌珠の頬を叩いた。
「攻めきれないとはどういう了見だ!だから貴様は使えないんだ!」
「痛っ…」
「やめろ」
冨岡が隊長の手首を掴み、擬煌珠から突き放す。
「この娘は俺が預かる」
「チッ、退却だ……」
ノアズアークが居なくなり、三人になった今。
さて今日の宿をどうするか……
男一人に女が二人。しかも一人は手負いだ。
暴漢に襲われたと言えば警察を呼ばれかねない。
かと言って三人分の旅費は……
「…っ……!!」
一時的に気を失っていた擬煌珠が目を覚ました。