第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
キラリ。
擬煌珠である彼女の手首にかけられている銀色の輪が光る。
ある。
この国だからこそ分かる仕組みが……
あの手首に付けてある銀輪。
あれにはこの国の国民証明が刻まれている。
王宮にある器具を使えば読み取れるだろう。
そのためには、まず……
「貴様を、倒す!」
「出来るものなら、やってみるがいい!吾が為に すがる手綱は ことひらに……」
「「満ち染まん 潮の流れに 揺蕩うは…」」
水が雷に打ち勝つためには、より不純物を減らし、純度を高めるしかない。
守りを固めて、大技にかかる時間を使って不意を突くしかない。
冨岡の意識は明確に勝利を引き寄せんとしていた。