第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
「朔はお前から受け取った剣だぞ?」
「は?いやいや何を言うかと思えば……からかうのも大概に……」
「朔、剣に戻れるか?」
「歌って頂ければ、早いのですが」
同契の謌か。
「だが、あれはお前に負担がかかるのではないか?」
「いいえ、そんなことはありません!義勇様!」
「……そうか」
「「静寂の波動 揺らぐ心は水鏡 ことほぎ燃ゆる 御霊の鎖 揺蕩う 飛沫と 契り籠ん!!」」
行商テントの中で朔と同契を成功させる。
歌と共に光に包まれた朔が剣に変わるのを見るや、さすがに状況を飲み込んだらしい善逸が言葉を絞り出した。
「マジか……」
「これで信じたか?」