第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
どうすれば、良いですか?
何をすれば、私を貴方のモノにしてくれますか?
王宮に居るという、貴方の奥様のように、私が貴方の心を手に入れることは出来ますか?
私は……
「朔!」
「……ごめん、なさい…」
「朔、こっちに来い」
「はい」
そこは市場の端の細い路地。
表通りからさほど離れていない筈なのだが、細い路地には光がほとんど差さず、暗がりに這うように伸びている物影に二人は身を隠す。
「出来るだけ気配を消せ」
「はい…///」
気配を消せと言われても、二人の体は密着しているし……
バクバクと鼓動が……
「朔?顔が赤いが、熱でも…」
「っ……///」
無理です、無理です、顔が近いー///
「朔!?」