第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
花札に描かれている聖剣もモチーフは聖剣伝説だ。
ん?待てよ?
「朔、ちなみに五つ揃うとどうなるんだ?」
「えぇと……五つ揃うとそれぞれが神器になり、その地に眠る龍を呼び出す……だったかと思います。まぁ、私の代になってから聖剣が四つ揃っているのも見ませんでしたし……」
「全て王宮にあるのではないのか?」
「私達は剣であるとともに人格もあります。その時仕えた者が必ずしも王族とは限りませんし、まぁ、炎だけは代々王が継承していますが。風は気まぐれでその代に気に入った騎士が居ないと表舞台に出てこないとも言いますし……」
「………そうか」
四つの聖剣が揃いし時、か……
まさか、その一振りが自分の手元に有るとは……
ポン。
「義勇、様?」
いきなり頭を撫でられて、朔が困惑している。
「ありがとう」
自分の中に様々な想いが去来するも、言葉に出来たのは結局、この一言だけだった。