第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
「王族かどうかは同契すれば、血筋で分かります。私は先々代の王に使われていましたから」
先々代……
確か、恵みの雨をもたらす神の代行者と崇められて……
ん?恵みの雨?
「恵みの雨はお前のことか?」
「先程の嵐の歌を使ったことがありますね」
ということはアレか?
雨の女神は朔の一属ということか。
度々干ばつにみまわれるこの国に恵みの雨を降らせていたのは、代々王家に仕えたエディルレイド達の力に他ならないということだ。
「義勇様?」
「朔、お前確か十三宝珠と呼ばれていたな?」
「はい、私は十三宝珠の五柱の一人でございます」
「五柱?」
「はい、この地に伝わる聖剣伝説です。一つ目は私。水に起因する事象を司る剣。二つ目は風。戦における神風などに起因する事象を司る剣。三つ目は大地。この国を形成する大陸に起因する事象を司る剣。四つ目は炎。生命を形作る太陽に起因する事象を司る剣。ただ五つ目は四つの聖剣が揃いし時にのみ現れるとされ……」
「お前達にも詳しい事情は分からないということか…」
「はい」