第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
「……義勇さんは、嘘を付けない人なんですね」
百合が力なく笑う。
「こういう時は『いつかお前を迎えに来る』って言うんですよ?」
「……そうなのか?」
ばつが悪そうに答えると、百合が赤くなった目を擦りながら笑う。
「駄目ですねー、義勇さんは」
「そうか」
「いつか、迎えに来てくれますか?私、貴方を待ちたいんです///」
真っ直ぐに向けられた彼女の想い。
俺は結局何も答えられず、彼女を抱き締めた。
決めきれない俺の心を察してか、彼女は俺の腕の中に居ても、それ以上の事を望むことはしなかった。