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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻


百合の泣きすぎて赤くなった目尻を指で拭ってやる。

「不思議……義勇、さんは怖くない…」

体の震えは止まっていないところから見て、厳密には男性が怖いのだろう。

特に警官達や店番の体格の良い男達は怖いのだろう。

俺は鍛えているとはいえ、細身なのでその対象からは少し外れるのだろう、と思う。

百合は何も言わない。

頭一つ分低い百合の頭をポンポンと撫でてやると、彼女の目からぽろぽろとまた涙が零れ始めた。

自分が泣かせてしまったと戸惑っていると、百合が言った。

「手を、握って下さい…」

手?

言われた通りに彼女の手を握ってやると、その手は冷たかった。

余程、怖かったのだろう。

よく見れば、手首に手痕が着いているし、衣装も破れたままだ。

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