第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
ガラッ。
向かったのは俺が昨日整体に使用した寝台のある奥の角部屋。
幸い、ここは昼間の戦闘の被害も受けず、部屋としての機能が整っていたため、警官達の事情聴取のための部屋となったのだが……
警官は騒ぎが大きかったことと、数名の娼婦が怪我を負っていたのを見て、女将以外の娼婦達にも話を聞きたいともちかけた。
やましいことは無いと証明するためにも怪我をした娼婦達にも事情を聞くことを女将は許した。
口裏を合わせることも考えられると言われ、一人ずつ部屋に入り話をしたらしいが……
「百合?」
「…………」
女将曰く、警官の一人が前に店に来ていて、百合を指名したが金が足りず帰って行ったことから目をつけられていたのかもしれない、と。