第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
二階に戻り、朔の臨戦態勢を解き、人型に戻す。
と言っても、よく分からなかったのでただ単に鞘に刀身を納めたら、朔が人の姿に戻ったのだが。
コンコン。
部屋の扉がノックされる。
誰か来たようだ。
「誰だ?」
扉を開ける前に問うとすぐに返事が帰って来ないことに不信感がつのる。
ここに居る者に遠慮するような人物はほぼ居ない。
あぁ、一人だけ。
百合ならば、困惑してすぐに応対できないかもしれない。
「えっと…」
思案していた相手の声ではない。
菫?
彼女の天真爛漫さからは考えられない行動に、さしもの義勇も驚き、扉を開ける。
「どうした?」
菫から事情を聞いた俺は一階に駆け降りた。
何故……