第56章 新年用読切 新しい年を貴方と$
自分用に盛ったチャーハンに口を付けず、タバコをふかしていたのはこの為か。
彼が好んで吸っている、バニラの香りのするウィンストン・キャスターホワイト。
いつしか慣れ親しんでしまったこの香り。
「…………ん、嬉しい。楽しみにしてるね、天元さん」
控えめに、けれども喜んでいるのが分かる笑みを浮かべる白藤。
こういうヤツが俺には必要だったんだなと思った。
「安心したから俺も食うわ」
「ふふ、天元さんたら。ビールも持って来る?」
「お、分かってんな。頼むわ」
「………あのさ、天元さん。クリスマスに渡せなかったプレゼント……カウントダウンの時に渡して良い?」
………かっわ!
ヤバい、可愛い!
いや、待て。俺!
このまま盛るな!
お楽しみは、カウントダウンパーティーの後に……な。