第56章 新年用読切 新しい年を貴方と$
「もう、私太っちゃうよ」
ぷぅと頬を膨れさせる白藤の口許から米粒を取ってやり、自然に自分の口許に。
指に付いた米粒をペロリと舐めとれば、彼女が顔を真っ赤にしていた。
「……白藤?」
まさか、彼の仕草に見とれていたとは言えず……
「……なんでもない。何?天元さん」
「年末、タワーのカウントダウンパーティーに一緒に行かないか?」
「カウントダウンパーティー?良いの?相手、私で……」
「何言ってんだよ、お前じゃなきゃ誘わねぇっての!クリスマス、悪かったな。お前全然自分のこと喋んないからすぐに気付いてやれなくて、ゴメン。だから、埋め合わせさせてくんないか?」