第56章 新年用読切 新しい年を貴方と$
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「何だ?おい、白藤?」
ブチッ。
「切れた」
いや、切られた?
やっぱり怒ってんだろうなー。
ガチャ。
合鍵で部屋へ入ると、ザーとシャワーの音がしていた。
風呂か。
ずっと飲みっぱなしで、ほとんど食べていなかった俺は小腹が空いてきたため、何気なく冷蔵庫の扉を開けた。
「え?」
今朝まで置いてあった下拵えを終えた料理やケーキが並んでいたはずなのだが……
「無い……」
いくら待っても俺が帰って来ないので誰か誘ってパーティーでもしたのだろうか?
バタン。
シャワーを終えた白藤が出てきたので、声をかけようとするも……
「あ、遅くなって……」
スッ。
「おやすみ」
え?
何、それだけ?
「あ、おぅ……」
その時、俺は気付かなかった。
珍しく出しっぱなしになっていたゴミ袋に今日食べるハズだった料理がそのまま入っていたことに。