第71章 向かう白、揺蕩う藤色
「ちぃっ!!」
柱共が邪魔だ。
彼女に近づけない……
無惨も何故、自身が白藤に惹かれるのかが分かっていないが、彼女とは何か関わりがあった気がしているのだ。
ずっと昔、鬼になる前。
無惨の記憶も薄ぼんやりとしている。
何百年という長い時を過ごしているのだ。
鮮明に覚えていることなど、そう数多く無い。
けれども、人の身であった頃は誰かが傍に居て笑いかけてくれた。
「藤の花の模様の痣……」
冨岡や不死川の体に刻まれた文様のような痣をみて、無惨は動きを止めた。
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「よく効くおまじないを陰陽師に聞いてきました!」
「お呪(まじな)い?」
「はい!」