第55章 スルタン企画 絶対君主には成れずとも$ 上巻
妻がいないからなんだと言うんだ。
「大戦で他の王子が亡くなった場合、お前はどうする?」
王に問われ、俺はその問い自体がくだらないと思った。
「どうとは?」
「お前は何のために生きている?皆生きる目的がある。俺はこの国をより良くするために。杏寿郎は民衆の為に。天元は支えてくれる家臣の為に。実弥は自分が武勲を上げることで、一人でも戦火で失わぬように」
王は再び同じ問いを口にする。
「お前は何のために生きている?」
「……………」
俺はすぐには答えられなかった。