第55章 スルタン企画 絶対君主には成れずとも$ 上巻
「白藤、大臣数名から税上げの提案が出ていたが、どう思う?」
「これ以上民から搾取できるとは思えないわね…」
「だろう?さて、どう代案を立てるか……」
冨岡の真剣な横顔に。
ちゅ。
「白藤?」
なぜ今口付けられたか分からないといった顔を向ければ。
「ふふ。相変わらずね」
と、彼女が笑う。
改めて彼女を妻に迎えたのは、ちょうど三年前。
俺が十七になった時だった。
煉獄をはじめ、他の王子達も妻を娶(めと)り、独り身だったのは冨岡だけだった。
そんな時だ。
王が妻を選べと言ってきたのは。
正直、どうでも良かった。