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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第55章 スルタン企画 絶対君主には成れずとも$ 上巻


あれはまだ幼い頃。

キュルキュルー。

「はぁ…」

冨岡は宮殿で蹲(うずくま)る少女を見つけた。

ここは礼拝堂でも殿下の執務室とも違う、ただの廊下だ。

頭を垂れる理由がない。

「腹が減ったのか?」

声をかけたのはただの気紛れだった。

俯(うつむ)いていた少女は顔を上げ、まだ少し赤さの残る頬をこちらに見せ、力無く笑った。

「ごめんなさい、せっかく宮女になったのに…」

「ん?お前先月入ったばかりの……白藤だな?」

「王子様、覚えて頂いてたのですか?」

「使用人の顔を覚えるのは当たり前だろう?」

「私……不死川様の所に…宮仕えになったのですが、ご満足頂けないのか、あのお方には怒鳴られてばかりで……」

白藤の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。

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