第55章 スルタン企画 絶対君主には成れずとも$ 上巻
「それは……」
ドカァンッ!
「レーダーの反応はこちらであります!」
爆発音と共に数名の兵士と思われる人間が廃屋へやって来た。
「何だ?」
「そこの者!此処で武器を手に入れなかったか?」
「武器?」
コイツのことか。
冨岡は咄嗟に朔を自身の背中に庇った。
「彼女はお前の連れか?」
「そうだ。生憎、宿がいっぱいで雨風を凌げるならと此処に一晩泊まっただけだ」
「手荒な真似は止めなさい」
「上官!」
「失礼致しました。私達はノアズアーク。エディルレイドと呼ばれる伝説の武器の保護活動をしております」
「そうか。悪いが俺と彼女は流浪の旅ゆえ先を急ぐ。伝説の武器とやらがどんなものかも分からないのでは協力も致しかねるからな」
『右手を隠せ。急いでこの場から離れるぞ』
どこまで伝わったかは分からないが、彼女は冨岡の視線に頷き、右手を袖で隠す。
「俺達はこれで……」
冨岡は朔を連れ、その場を後にする。
「上官、よろしかったのですか?」
「十三宝珠(じゅうさんほうじゅ)でなければ特に拘りはしないさ。久しぶりの反応だからな。少し泳がせる」