第55章 スルタン企画 絶対君主には成れずとも$ 上巻
「ですから、義勇様……」
「朔。よく聞いてくれ。すまないが、お前の望むようにはしてやれない。俺には将来を誓った妻がいるんだ」
「………この国は、妻が何人いても良いのでしょう?」
「は?」
「私は別に構わないのです。私が何番目でも、義勇様の愛を感じられたら」
「……………」
俺が想いを寄せているのは、白藤であって、こいつじゃない。
「とりあえず、離してくれ……」
「もう、つれない方ですね」
スッ。
ようやく解放された冨岡が強ばった体を伸ばしていると……
「…………」
朔が冨岡の体をじっくり眺めている。
「……何をそんなに凝視しているんだ?」
「いえ、義勇様の体が、剣士向きだなと思いまして…」
「……そうすぐにお前を使うかどうかも分からないぞ?」
「さぁ、それはどうでしょう?」
「どういう意味だ?」