第55章 スルタン企画 絶対君主には成れずとも$ 上巻
「義勇の瞳は深い青色をしてるのね」
昔、白藤に言われた。
俺は昔から自分の容姿が嫌いだった。
皆より白い肌、黒い髪、青い瞳。
鏡の中の自分は、写真に写っている母の面影をそのまま映したようだった。
母は元々異国の出身で、この国には伝承の舞いを見せるために訪れたこと。
舞い手の母に一夜の恋をした父王がそのまま宮殿に住まわせたこと。
俺を産んで少ししてから事故で亡くなったこと。
階段から足を滑らせたのだと聞いているが……
横やりに思考を止める。
「義勇様?」
「………お前のことは何と呼べばいいんだ?」
「お好きにどうぞ?」
静寂……今日は新月……