第7章 廓の中$
ドクッ
「アンタ人の部屋で何してんの?」
善子の背後に蕨姫が立っていた。
鬼の音だ。
ドクン、ドクン。
驚愕する善子の前に一人の女郎が立ち塞がる。
「まあまあ、すぐに片付けますから。そんなにこの子たちを叱らないでやって下さい」
「アンタ誰だい」
「この子と同じ新入りで、雪白と申します」
「ふん、じゃあさっさと失せな」
「はい」
$$$
京極屋、日の当たらない階(きざはし)。
「何で、白藤さんがここにいるんですか?」
「耳のいい貴方なら私が鬼なのも分かっているでしょう?私の血鬼術は特殊でしてね。香を使うんです。貴方たち三人の着物に私の香を吸わせた布が縫ってあって、私は異変のあった香の場所に本体を飛ばすだけでこと足りるって訳です」
なので、ときと屋でした猿芝居を時間をあけて、宇髄と二人で他の二軒にも回り、雇われている。基本的に本体をときと屋に置き、他は分身を使っている。